建設業許可要件の一つ「専任技術者」ってなに?
建設工事に関する請負契約の適正な締結・履行を確保するためには、その建設工事に関して専門知識を持つ方が必要になります。 そこで、許可を受けようとする建設業に関する専門知識を有する方を営業所ごとに配置することを義務付けました。 この専門知識を持つ方が専任技術者です。
専任技術者に関する要件
建設業許可を取得するためには「専任技術者」を配置が必須です。しかし、誰でも専任技術者になれる訳ではありません。専任技術者になるためには、次の四つの要件のうち一つを満たさなければなりません。
①一定の国家資格を取得する
②10年間の実務経験を積む
③学歴があり、それに応じた実務経験を積む
④国家資格等を取得し、それに応じた実務経験を積む
資格で専任技術者の要件を充足する場合、どの業種で建設業許可を取得するかによって使える資格が変わりますので注意ください。資格についてはこちらの記事をご参照ください。
専任技術者の一般的な要件は石工事業の場合の具体的な事柄を解説しますので、一般的な要件をご覧いただいてから読み進めていただくことをお勧めします。
専任技術者になるために使える国家資格
以前から使用することができる国家資格は次の通りです。技能検定で専任技術者になろうとする場合、二級技能士は合格後3年の実務経験が必要になる点ご注意ください。また、平成16年3月31日以前に一級技能士に合格した場合は、合格後1年の実務経験が必要になります。(注)それ以降に一級技能士に合格した場合、実務経験は不要です。
資格区分 | 石工事業で使用できる資格 | 必要な実務経験年数 |
---|---|---|
技能検定 | 一級技能士(ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工) | なし(注) |
技能検定 | 二級技能士(ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工) | 合格後3年以上 |
技能検定 | 一級技能士(石工・石材施工・石積み) | なし(注) |
技能検定 | 二級技能士(石工・石材施工・石積み) | 合格後3年以上 |
技術検定 | 一級土木施工管理技士 | なし |
技術検定 | 二級土木施工管理技(土木) | なし |
技術検定 | 一級建築施工管理技士 | なし |
技術検定 | 二級建築施工管理技士(仕上げ) | なし |
令和5年7月から、選任技術者になることのできる資格が追加されました。これにより、かなり多くの方が専任技術者になることができるようになりましたので、是非ご覧ください!
ただし、追加された資格については、一定の実務経験が必要になりますのでご注意ください。
資格区分 | 石工事業で使用できる国家資格 | 必要な実務経験年数 |
---|---|---|
技術検定 | 一級土木施工管理技士補 | 合格後 3年 |
技術検定 | 二級土木施工管理技士(鋼構造物塗装) | 合格後 5年 |
技術検定 | 二級土木施工管理技士(薬液注入) | 合格後 5年 |
技術検定 | 二級土木施工管理技士補(土木) | 合格後 5年 |
技術検定 | 二級土木施工管理技士補(鋼構造物塗装) | 合格後 5年 |
技術検定 | 二級土木施工管理技士補(薬液注入) | 合格後 5年 |
技術検定 | 一級建築施工管理技士補 | 合格後 3年 |
技術検定 | 二級建築施工管理技士(建築) | 合格後 5年 |
技術検定 | 二級建築施工管理技士(躯体) | 合格後 5年 |
技術検定 | 二級建築施工管理技士補 | 合格後 5年 |
技術検定 | 一級造園施工管理技士 | 合格後 3年 |
技術検定 | 一級造園施工管理技士補 | 合格後 3年 |
技術検定 | 二級造園施工管理技士 | 合格後 5年 |
技術検定 | 二級造園施工管理技士補 | 合格後 5年 |
いまさら聞けない!「石工事はどんなもの?」
石工事業は、石材の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事とされています。
・石積み(張り)工事
石材を積み上げ、垣根や壁面、橋脚を支える台などの工作物を作る工事や、建築物の内外装として、石材を張り付けたり方面処理をする工事。エントランスや外構で施工されることが多く、床や壁の見栄えや耐久性を向上させる目的で施工されます。
・コンクリートブロック積み(張り)工事
建築物の内外装として擬石等を張り付ける等の工事や法面処理、擁壁としてコンクリートブロックを積む(張り付ける)工事。
石工事は業種判断で迷うことがある業種です。なぜかというと、石工事に分類できる工事と名前が同じ又は似た工事が存在するからです。ここで、業種判断でよく問題となる業種をとその判断基準をご紹介します。
タイル・れんが・ブロック工事業
この業種も「コンクリート積み(張り)工事」を施工することができます。この表現は建設業許可の手引きで記載されているものです。しかしこれでは石工事との違いが判りません。具体的な違いは内外装の工事であるかです。コンクリートで建築物を築造する場合、「内外装として行う」わけではないので、「タイル・れんが・ブロック工事」のコンクリートブロック積み(張り)工事として施工することになります。
とび・土工・コンクリート工事業
とび・土工・コンクリート工事業はコンクリートブロック据付け工事を行うことができます。この工事は土木工事において大規模なコンクリートブロックの据付けを行う工事や、梁等の部材を設置する工事を行うことができるものです。石工事は内外装としての工事ですので、石工事にはあたらないことはご理解いただけるかと思います。
出典元:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)」
石工事業の建設業許可取得ならGAKU!
今回ご紹介した石工事業の際の建設業許可取得のための申請にはかなり多くの書類を調製し、添付書類も集めなくてはなりません。ご自身で書類作成を行う場合、かなりの時間を書類に割かなくてはならず、証明書等の請求先を調べて取り寄せて・・・といった煩雑な作業もする必要があります。
行政書士に依頼することで、煩雑な書類調製から提出までの手続きをする必要がなくなり、本業に専念できますので、是非ご一考くださいませ。お問い合わせは下のフォーム又はお電話にから可能です。
著者紹介
代表行政書士
中田 丞哉
Nakata Shoya
札幌市出身。日本大学法学部卒業。塾講師、大手行政書士事務所での勤務を経て事務所を開設。建設業許可申請、契約書作成、遺言・相続関係業務を幅広い人脈でサポートする。
コメント