【電気工事業】建設業許可の要件を簡単解説!

建設

電気工事業の建設業許可(一般)の取得要件をわかりやすく解説!

全ての建設業許可に共通する要件

建設業は一式工事と専門工事を合わせて29業種に分かれており、施工しようとする工事によってどの業種で建設業許可を取得するかが変わります。今回は電気工事業について解説しますが、この項目では、どの業種でも共通する要件について解説します。

建設業許可を取得する際、必ず押さえておくべき要件が6つあります。

建設業許可!6つの要件
  • 経営業務の管理責任者に関する要件
  • 専任技術者に関する要件
  • 財産的基礎に関する要件
  • 誠実性に関する要件
  • 欠格要件
  • 社会保険への加入に関する要件

経営業務の管理責任者に関する要件

建設業許可を取得するためには「経営業務の管理責任者」をおかなければなりません。建設業許可をはじめて取得しようとする場合、この要件をクリアできるかどうかが問題になる場合が多々あります。

建設業に関する経営経験が必要となり、この要件をクリアするには5通りの方法があります。しかし、実際に使われるのは大部分が3通りです。経営業務の管理責任者になることができる人の要件こちらで詳しくを解説しています。使われることの多いパターンは「★ケーカンの要件」の枠の中の上から3つです。

専任技術者に関する要件

建設業許可を取得するためには「専任技術者」の配置も必要です。専任技術者になることができる人の要件は、資格を取得するか、実務経験を積むか又は学歴があり、それに応じた実務経験を積むか、資格を取得し、それに応じた実務経験を積むかのいずれかになります。

資格で専任技術者の要件を満たす場合、どの業種で建設業許可を取得するかによって使える資格が変わりますので注意が必要です。

専任技術者の一般的な要件はこちらでご確認いただけます。今回の記事では、電気工事業の場合の具体的な事柄を解説しますので、一般的な要件をご確認いただいてから読み進めていただくのがよろしいかと思います。

財産的基礎に関する要件

建設業許可を取得する場合、財産的基礎要件も重要です。現時点で要件を満たしていない場合、融資を受けるなどして対応する必要があります。

次に掲げる要件のいずれかを満たしている必要があります。

財産的基礎要件

①自己資本が500万円以上あること
②500万円以上の資金調達能力があること
③直近五年間東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があること

②の要件は、取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書又は融資証明書により判断することとなります。

誠実性に関する要件

建設業許可を取得する際、不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかな者ではないことが要件となります。

建築法上、宅地建物取引業法などの規定により不正又は不誠実な行為をし、免許などの取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかな者」として取り扱われます。

欠格要件

建設業許可を取得する際、欠格事由に該当していないことが必要です。欠格要件は次の通りです。

欠格事由
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない
一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る聴聞通知を受け取った後、廃業の届出をした場合に届出から5年を経過しないもの
聴聞通知を受け取った日から取消処分がされた日(取消処分をしないことの決定がされた日)までの間に廃業の届出をした場合、聴聞通知を受け取った日から遡って60日前までの間に当該廃業届出をした法人の役員等若しくは政令使用人であった者(個人事業主の政令使用人を含む。)で、廃業届出の日から5年を経過しないもの
建設業法第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
建設業法第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
建設業法等に違反したこと又は刑法の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
未成年者の法定代理人が建設業法第8条各号のいずれかに該当するもの
法人の役員等又は政令で定める使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者のあるもの
個人で政令で定める使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者のあるもの
暴力団員等がその事業活動を支配する者
建設業許可の手引きより

社会保険への加入に関する要件

建設業許可を受けようとする事業者は、適切な社会保険への加入をしている必要があります。

建設業法施行規則第7条第2号

許可を受けようとする事業者が、次のいずれにも該当する者であること
イ  健康保険法第3条第3項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則第 19 条第1項の規定による届書を提出した者であること
ロ  厚生年金保険法第6条第1項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則第 13 条第1項の規定による届書を提出した者であること
ハ  雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則第 141 条第1項の規定による届書を提出した者であること

上記に掲載しましたのが、社会保険に関する要件を明らかにした条文です。しかし、少しわかりにくいかと思いますのでかみ砕いてご説明します。

社会保険には3種類あります。

健康保険
厚生年金保険
雇用保険

この三つに適切に加入している必要があります。建設業許可申請書の添付書類にて、適切に加入していることを立証することになります。

以下で 3 つの社会保険に加入しなければならない場合を解説します。

健康保険

健康保険に加入しなければならないのは 法人個人事業の場合は、5 人以上の従業員を使用する場合です。ほとんどの事業者様の場合は加入が必要になります。

厚生年金保険

厚生年金保険に加入しなければならないのは 法人個人事業の場合は、5 人以上の従業員を使用する場合です。健康保険の加入義務が生じる場合と同様です。

雇用保険

雇用保険は上記の二つとは、強制加入になる要件が異なります。

① 31 日以上引き続き雇用される事が見込まれる
② 1 週間の所定労働時間が 20 時間以上

上記の二つに当てはまる従業員がいる場合、雇用保険に加入しなければなりません。

★電気工事業に該当する工事はどんなもの?

電気工事とは、建設業許可の手引きでは「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」を指すと定義されています。

具体的な工事の例としては以下のようなものになります。

電気工事の具体例

発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事(避雷針工事)、太陽光発電設備の設置工事

電気工事業の業種判断について気をつけなければならないことが3つあります。1つ目は屋根一体型の太陽光パネルの設置工事は屋根工事業に分類されるということです。ただし、太陽光発電設備の設置工事は電気工事業の建設業許可で施工することができます。

2つ目は、機械器具設置工事との業種区分です。機械器具設置工事と業種の範囲が重複する工事がいくつかあります。「管工事」「電気通信工事」「電気工事」等です。これらの専門工事の業種の範囲内の工事は各専門工事で施工しどの業種にも属しない機械器具、又は、複合的な機械器具の設置工事を機械器具設置工事で施工することとされています。電気工事業に分類される工事であれば、一見、機械器具設置工事で施工することができる工事であっても、電気工事業の建設業許可で施工することができるわけです。

3つ目は、電気工事業の許可だけでは工事をすることができないということです。電気工事を行う場合、電気工事事業者登録が必要になります。

電気工事事業者登録について

電気工事業で工事をしようとする場合、原則的には、経済産業省所管の電気工事事業者登録、通知又は届出(電気工事事業者登録等という。)をしなければならず、これをしない場合一年以下の懲役または10万円以下の罰金若しくはその二つを併科されることがあります。また、電気工事事業者登録等をしていない期間は、専任技術者の実務経験期間に数えることができません。

電気工事業に関する工事をする場合は、電気工事業許可を取得するだけでなく、必ず電気工事事業者登録をしてください。(例外的に登録が不要なものもあります)

電気工事事業者登録をする場合、建設業許可の要件とは異なる要件を充足する必要がありますのでご注意ください。要件は大きく分けて次の3つです。

①欠格事由に該当しないこと
②営業所ごとに主任電気工事士がいること
③法定の器具があること

電気工事事業者登録の詳しい要件は別の記事で解説します。

★電気工事業で許可を取得する際に使える国家資格

電気工事で建設業許可を取得する際、専任技術者の要件をどのような資格・経験・学歴で充足するかが重要になります。電気工事で使用することができる国家資格は次の通りです。

資格区分電気工事で使用できる国家資格必要な実務経験年数
民間資格一級計装士合格後1年以上
民間資格建築設備士資格取得後1年以上
電気主任技術者国家試験等電気主任技術者 一種二種三種免許交付後5年以上
電気工事士試験第一種電気工事士なし
電気工事士試験第二種電気工事士免許交付後3年以上
技術検定一級電気工事施工管理技士なし
技術検定二級電気工事施工管理技士なし
技術士試験建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理「建設ー鋼構造物及びコンクリート」なし
技術士試験建設・総合技術監理「建設」なし
技術士試験電気電子総合技術監理(電気電子)なし

★電気工事業で許可を取得する際に使える学歴

電気工事で建設業許可を取得する際の専任技術者の要件を学歴+実務経験で充足することもできます。その際、第一に重要なのが、どの学校を卒業しているかによって積まなければならない実務経験の年数が変わります。具体的には次の通りです。

高等学校全日制、定時制、通信制、専攻科、別科指定学科卒業+実務経験5
中等教育学校中高一貫教育の学校指定学科卒業+実務経験5
大学・短期大学学部、専攻科、別科指定学科卒業+実務経験3
高等専門学校学科、専攻科指定学科卒業+実務経験3
専修学校専門課程、学科※指定学科卒業+実務経験5年(専門士、高度専門士は3年)
※1年制の専門学校の場合→実務経験5年 2年制以上の専門学校の場合→実務経験3年

電気工事で建設業許可を取得する際に専任技術者の要件の充足に学歴を使用する場合は、特定の学科を卒業している必要があります。では、電気工事の場合に使える学科をご紹介します。

電気工事で使用できる学科
電気工学に関する学科(システム科、情報科、電子工業科、電子通信科等)
電気通信工学に関する学科(電気通信科)
網羅的な学科の説明はこちらからご確認いただけます。

電気工事業で建設業許可を取得する際に必要な書類

電気工事の業種で建設業許可を取得する場合の、建設業許可申請書類をざっくりまとめてご紹介します。実際に申請する上で必要な書類とそうでない書類がありますが、今回は網羅的にご紹介します。

電気工事での建設業許可申請に必要な書類
  • 建設業許可申請書
  • 役員等の一覧表
  • 営業所一覧表
  • 収入印紙、証紙、登録免許税領収証書又は許可手数料領収証書はり付け欄
  • 専任技術者一覧表
  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 使用人数
  • 誓約書
  • 成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書
  • 成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村の長の証明書
  • 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書
  • 常勤役員等の略歴書
  • 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
  • 常勤役員等の略歴書
  • 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
  • 健康保険等の加入状況
  • 専任技術者証明書(新規・変更)技術検定合格証明書等の資格証明書
  • 実務経験証明書(必要に応じて卒業証明書を添付)
  • 指導監督的実務経験証明書
  • 建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表
  • 許可申請者(法人の役員等・本人・法定代理人・法定代理人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書
  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書
  • 定款
  • 株主(出資者)調書
  • 貸借対照表
  • 損益計算書・完成工事原価報告書
  • 株主資本等変動計算書
  • 注記表
  • 附属明細表
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 登記事項証明書
  • 営業の沿革
  • 所属建設業者団体
  • 納税証明書(納付すべき額及び納付済額)
  • 主要取引金融機関名

電気工事業の建設業許可取得の手続きにおける行政書士の利用

建設業許可取得における行政書士の対応と気軽な相談

今回ご紹介した電気工事の際の建設業許可取得のための申請にはかなり多くの書類を調製し、添付書類も集めなくてはなりません。ご自身で書類作成を行う場合、多くの時間を書類に割かなくてはならず、証明書等の請求先を調べて取り寄せて・・・といった煩雑な作業も行う必要があります。

私ども行政書士に依頼することで、煩雑な書類調製から提出までの手続きをする必要がなくなり、本業に専念できますので、是非ご一考くださいませ。お問い合わせは下のフォーム又はお電話にから可能です。


    著者紹介


    代表行政書士 

    中田 丞哉
    Nakata Shoya

    札幌市出身。日本大学法学部卒業。塾講師、大手行政書士事務所での勤務を経て事務所を開設。建設業許可申請、契約書作成、遺言・相続関係業務を幅広い人脈でサポートする。

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