建設業許可要件の一つ「専任技術者」ってなに?
建設工事に関する請負契約の適正な締結・履行を確保するためには、その建設工事に関して専門知識を持つ方が必要になります。 そこで、許可を受けようとする建設業に関する専門知識を有する方を営業所ごとに配置することを義務付けました。 この専門知識を持つ方が専任技術者です。
専任技術者に関する要件
建設業許可を取得するためには「専任技術者」を配置する必要があります。しかし、専任技術者になる方はだれでも良いという訳ではありません。専任技術者になることができる方の要件は次の通りです。この4つの要件のどれかをクリアできれば大丈夫です。
①一定の国家資格を取得する
②10年間の実務経験を積む
③学歴があり、それに応じた実務経験を積む
④国家資格等を取得し、それに応じた実務経験を積む
資格で専任技術者の要件を充足する場合、どの業種で建設業許可を取得するかによって使える資格が変わりますので注意ください。資格についてはこちらの記事をご参照ください。
専任技術者の一般的な要件は石工事業の場合の具体的な事柄を解説しますので、一般的な要件をご覧いただいてから読み進めていただくことをお勧めします。
専任技術者になるために使える学歴
専任技術者になるためには、先ほどご覧いただいた要件のどれかを満たす必要があります。この記事では学歴で要件を充足する場合を解説します。
学歴というと、単に大学卒業していればよいとか、高専を卒業していればよいというわけではなく、それぞれ指定された学科を卒業している必要があります。また、学歴で要件を充足する場合は、必ず一定期間の実務経験が必要になります。まずは、どの学校を卒業すると何年の実務経験が必要かを見ていきます。
高等学校 | 全日制、定時制、通信制、専攻科、別科 | 指定学科卒業+実務経験5年 |
中等教育学校 | 中高一貫教育の学校 | 指定学科卒業+実務経験5年 |
大学・短期大学 | 学部、専攻科、別科 | 指定学科卒業+実務経験3年 |
高等専門学校 | 学科、専攻科 | 指定学科卒業+実務経験3年 |
専修学校(専門学校) | 専門課程、学科 | ※指定学科卒業+実務経験5年(専門士、高度専門士は3年) |
石工事業で建設業許可を取得する際に専任技術者の要件の充足に学歴を使用する場合は、特定の学科を卒業している必要がありますので、石工事業の場合に使える学科をご紹介します。
石工事業で使用できる学科 |
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建築学に関する学科(環境計画科、建築科、建築システム科、住居科、造形科等) |
土木工学に関する学科(建設科、環境緑化科、砂防科、鉱山土木科、社会開発科等) |
いまさら聞けない!「石工事はどんなもの?」
石工事業は、石材の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事とされています。
・石積み(張り)工事
石材を積み上げ、垣根や壁面、橋脚を支える台などの工作物を作る工事や、建築物の内外装として、石材を張り付けたり方面処理をする工事。エントランスや外構で施工されることが多く、床や壁の見栄えや耐久性を向上させる目的で施工されます。
・コンクリートブロック積み(張り)工事
建築物の内装又は外装として擬石等を張り付ける等の工事や法面処理、擁壁としてコンクリートブロックを積む(張り付ける)工事。
石工事は業種判断で迷うことがある業種です。なぜかというと、石工事に分類できる工事と名前が同じ又は似た工事が存在するからです。ここで、業種判断でよく問題となる業種をとその判断基準をご紹介します。
タイル・れんが・ブロック工事業
この業種も「コンクリート積み(張り)工事」を施工することができます。この表現は建設業許可の手引きで記載されているものです。しかしこれでは石工事との違いがわかりません。
具体的な違いは内外装の工事であるかどうかです。コンクリートで建築物を築造する場合、内外装として行うわけではないので、「タイル・れんが・ブロック工事」のコンクリートブロック積み(張り)工事として施工することになります。
とび・土工・コンクリート工事業
とび・土工・コンクリート工事業はコンクリートブロック据付け工事を行うことができます。この工事は土木工事において大規模なコンクリートブロックの据付けを行う工事や、梁等の部材を設置する工事を行うことができるものです。石工事は内外装としての工事であるので、その違いがよくわかるかと思います。
出典元:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)」
石工事業の建設業許可取得ならGAKU!
今回ご紹介した石工事業の際の建設業許可取得のための申請にはかなり多くの書類を調製し、添付書類も集めなくてはなりません。ご自身で書類作成を行う場合、かなりの時間を書類に割かなくてはならず、証明書等の請求先を調べて取り寄せて・・・といった煩雑な作業もする必要があります。
行政書士に依頼することで、煩雑な書類調製から提出までの手続きをする必要がなくなり、本業に専念できますので、是非ご一考くださいませ。お問い合わせは下のフォーム又はお電話にから可能です。
著者紹介
代表行政書士
中田 丞哉
Nakata Shoya
札幌市出身。日本大学法学部卒業。塾講師、大手行政書士事務所での勤務を経て事務所を開設。建設業許可申請、契約書作成、遺言・相続関係業務を幅広い人脈でサポートする。
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